町中にある映画館の前。

中から出てくる浅海と桑原を見つけた。


「浅海っ!!」


俺は浅海にかけよった。


「裄!?」


びっくりした浅海が声を上げた。

俺は走ったせいで、ハァハァと呼吸が乱れたまま。

それでも必死に浅海に向かって言った。


「行くなっ………」

「え?」

「浅海がっ、好きだから……どこにも行くなっ」


今の俺には、これしか言えなかった。

ただ浅海が好きなんだ。

ずっと俺のそばにいてほしいんだ。