「遼多」


俺は顔を上げて、遼多を見た。


「俺、どうすればいいと思う?」


考えても、何も出なかった。

今の自分にできること。

それは一体何?


「姉ちゃんを渡したくないなら…仁を止めること、ですかね」


ニヤっと遼多は笑って言った。

その瞬間、俺は遼多の部屋を飛び出していた。


走って走って、浅海と桑原を探した。

こんな広い町、見つかるかも分からない。

それでもひたすら走って、走った。


浅海が好きなんだよ。

俺の命よりも、大切なんだよ。