少し戸惑い気味の裄と一緒に、教育学部棟の隣の自転車小屋へと向かった。

みんな次の授業があるのか、誰もくる気配はなかった。

隅の方で向かい合って立つ。


「何? 話って」


冷たい声ではなく、あたしを気遣うような裄の声。

そんな声、せっかく固めた決心が鈍っちゃう‥


「浅海?」


泣きそうな顔で何も言わないあたしに、

裄が心配して声をかける。

あたしは裄から視線を逸らして言った。


「別‥‥れて‥」

「え‥?」