裄の声は、つらく、切ない声だった。


「俺、お前がすっげー好きだから。‥‥‥お前の涙に弱いんだよ」


あたしの涙に弱い?

嫌いなんじゃなくて?


あ、分かった。

どうせまた『なーんてな』って言うんだ。

いつものからかいなんだ、きっと。


でも。


「言っとくけど、本当だからな。冗談じゃねえし」


あたしの心を読んだかのように、裄は言った。

低く、囁きかけるような声は、嘘じゃないことを証明する。