何分かしか建っていないだろうが
僕からしてみると何時間。
行為が終わったのかイビキが聞こえた。


もがき目隠しを外す。
視界が明るくなり溜め息が出る。


腕を見るとナイロン製の紐。
横で寝る猿をひと睨みする。
手は自由だったのが幸い。
近くにあった自分の鞄から
カッターを出し足で挟みながら
紐を切っていく。


「ふぅ。」 


数分経ってやって腕が自由になった。
乱れた服を直し荷物を持ち
なにも言わずにカズキの家を出る。