「じゃあわたし、えと、まだ行くところあるので…」


次に会いに行くのは、李亜さんだ

失礼します、と彼方先輩に背を向けた時


「おい」


急に、引き止められた

お、怒ってる?
ゆっくりと、振り返る


振り返った先には、もう目の前に先輩がいて…


こつりと、軽くわたしの頭を叩いた


「いた…?」
「笑顔が足りない」


なんだか前もこんな感じだったような…?

先輩の顔は、困り顔から普段のクールな顔に戻っていたけど


どこか優しげな雰囲気があった


「緊張してんのか知んないけど、
下ばっか見すぎ。


前向いて笑っとけ。
空に笑われるぞ」


そう言われて、気がついた


空くんと歩いてて、

気にしないようにしてるけど
やっぱり、視線がきになって
つい、靴ばっかり見ちゃってる


あと、

空くんの彼女なんだって
意識すると、ドキドキしちゃって


…あの時と、彼方先輩の言葉は変わらなく優しくて


また、先輩の魔法にかかったように感じる


「先輩も、笑ってくださいね」
「余計なお世話」


どっかいけ、というように
先輩は手をひらひらと振った


「ありがとう、ございます」


自然と、感謝が溢れた