「…俺たちも、行こっか!」


「うん…!」


遅刻はダメだよね


でも、わたしは
運動音痴で
体力なんてまるで無くって


「でもね、

もし、わたしが体力切れしたら
置いてって、いいから…」


そんな、わたしの声を
さえぎるように


「ばか。

そんときは、一緒に遅刻、だろ?」


また、優しい空くんの《ばか》


「ほら、カバン持つよ」


ひょいっと、
わたしのスクールバッグを
肩から取り上げた


「お、重いよ?」

「だいじょぶ、大丈夫!
さ、行こう!」


空くんが
わたしの手を引いて


走り出した


わたしのペースに合わせた
少しゆったりめなリズムで


空くんの背中を追いかける

大好きな、後ろ姿


空くんのスニーカーと
わたしのローファーが
走っていく


「…大丈夫?」


なんて、
後ろをついていくわたしを気遣ってくれる
空くんの声にきゅんとする


「だ、いじょうぶ!
どんどん、行こう…!」


荒い呼吸も
ばくばくなってる胸も


ぜんぶ全部が楽しくて


わたしは、
少し、歩調を早めた