「伊織、すごいよぉ…!
ほんと、おめでとう!!」


湊は涙声になりながら、


「仲良く、幸せにね」


優里は優しく背中を撫でてくれた


「あり、がと…」


泣きそう


胸が、いっぱいだ


わたしの視界がにじみ始めたとき


2人は笑いながら
溢れそうになったわたしの涙を拭った


「よし!
2人で学校、行くんでしょ?
行った行った!」


湊は
わたしと空くんの手をとって


学校への道へ送り出した


「ごめんね、
メール、しわすれちゃって…」


「いーのよ、気にしないで。

でも、

学校でぜーんぶ、聞かせてもらうわよ」


優里と湊が
わたしたちの背中を押す


「学校で、全部話す!
ふたりとも、ありがとう!


大好き!」


「湊も、北条も、ありがとう」
空くんも、2人にありがとうを贈る


「「いってらっしゃい」」


2人はそう言って
送り出してくれた


その時

わたしの目、おかしくなったのか分からないけれど


湊と優里のとなりに


まだ髪が長くて、メガネをかけてた頃の
わたしが


湊と優里と一緒に
『いってらっしゃい』って
笑いながら手を振ってるのが見えた





「「いってきます」」


わたしたちは
ふたりならんで


手を繋いで、歩き出した


“わたし、今、すっごく幸せだよ”


昔のわたしに
こころの中で
精一杯、手を振った