ひょっこり、
塀から
顔を出したのは
空くんだった
3人の輪に入り辛そうな
そんな顔を覗かせている
「そ、そ…空くん⁈
おはよう…!
いつから、そこに…?」
えーっと、と
少し視線を泳がせてから
「湊がでっかい声で
『昨日やけにそわそわしてたし!』
って、言ってた頃から」
「結構、最初…からいたんだね」
ひょこひょこと、
玄関の前まで空くんがやってくる
「なんか入りづらくってさ、
隠れてタイミング計ってたんだ」
へへっ、て笑いながら
『おはよう』を言う空くんは
いつも通り
キラキラ輝いていて
好きだなぁ、って
思うんだ
「というかさ、
伊織もソワソワしたり、
赤くなったりしてたんだねー」
ちょっとニヤニヤしながら
空くんが
わたしの顔を覗き込んでくる
や、やだ
ちょっと恥ずかしい!
ちょっとどころじゃない、
すごく、恥ずかしい
「からかわ、ないでよ…」
空くんの綺麗な顔が
目の前までせまってて
顔が沸騰するくらい
《ボンッ》って音がするくらい
ドキドキする
「ごめん、
でも俺もそうだったし、
おあいこ?だね」
ぱっと、空くんが顔を離す
朝から、こんな調子で
どうしよう。