ただいま、と
何もなかったみたいに挨拶して
急ぎ足で自分の部屋に行く
そして、誰にも
この真っ赤ににやけた顔を
見られないように
扉を閉めた
「わぁあーー…」
ベッドにダイブして布団と毛布の山に
顔をうずめる
「…夢みたい」
さっきまで繋いでいた手を
夢じゃないことを確認するみたいに
まじまじと見つめた
ほんのりと、まで手は暖かくて…
わたし
わたし、本当に
空くんの
彼女に
なれたんだ
「うーーわーあー……」
図書室での出来事が頭に浮かぶ
ちらりと
部屋の鏡に映った
自分の顔を見て
短い前髪を褒めてもらったことを
思い出す
なんだか恥ずかしくなって
布団の中に潜り込んでも
真っ暗な中
空くんに耳元でささやかれた声が
聞こえてくる気がして
「お風呂はいる!」
そう自分で声を出して宣言しないと
いつまでも悶えてばかりになる
そんな気がするくらい
わたしは浮かれてる