「俺はさ」
空くんの声を聞くと同時に
ふわりと暖かくなった手を
ちらりと見ると
いつの間にか
わたしと空くんの手は重なっていた
「すごく一途なんだ、きっと。
本当に好きな人にしか
ずっと隣にいて欲しい人にしか
告白しないから、さ」
分かった?
そんな意味を含んだ、柔らかい笑顔に
どうしようもなく顔が染まってしまう
それと同時に胸がいっぱいになる
それは
ずっと、わたしに、
隣にいてほしいって
想ってくれてるって、ことで
いいんだよね…?
ずっと、飛び込みたかった
あの、特等席に、わたしが。
「…本当?」
思わず、確認したくなった
絶対、が欲しくなった
重なっていた手の
熱が一層強くなった気がした
「…もう、
俺の隣は
伊織しか、考えられないよ」
もう、幸せでいっぱいだ
嬉しいのに、なんで泣いちゃうんだろう
もう今までにないくらいの
幸せを
空くんからもらいすぎて
ポロポロと、しずくになって
目から転がり落ちていく
でも、笑えるよ
「…わたしも、
空くんしか、考えられない、な」
泣きながら、笑顔になるわたしを見て
「もう、どっちかにしなよ」
そう言って、わたしの涙をぬぐった