「ばか」


少し空くんの力が緩んで


空くんは、すっとわたしの顔のすぐ前に
顔を持ってきた


近かった


こんなに優しい「ばか」を
初めて聞いた


「どんなに小さくても
伊織の想い、伝わってるから。


ちゃんと、伝わってるよ」


そんな、素敵な笑顔を見せないで


嬉しくて、恥ずかして
どうしようもない


そのまま空くんは
泣いたままのわたしを軽く抱き寄せた


「制服…濡れちゃう、よ…?」


「いいよ。落ち着くまで、いなよ」


一段と、言葉が暖かかった


「…お言葉に、甘え、ます」


ずっとこうしていたいくらいに


「どうぞ」


空くんが笑うと、
わたしも嬉しくなる


そのままわたしは、


空くんの暖かさに甘えた