「好きだよ」
そっと、耳元で空くんの声がした
優しくて、強い、大好きな声
「伊織のことが、好きだ」
この胸いっぱいの苦しさも
空くんから伝わる暖かさも
ぎゅっと感じる思いの強さも
夢なんかじゃないんだ
「ごめん
好きな人から“好き”って言ってもらえるのが
こんなに幸せだって、
知らなかったんだ
言いたいことが全部吹っ飛ぶくらい
嬉しかったから」
想いが決壊した
わたしはいつの間にか
嬉しくて、幸せで、少し恥ずかしくて
そんな想いでいっぱいいっぱいで
小さな子供みたいに
ぼろぼろ涙をこぼしていた
「伝わって、なかったのかと、思った
わたしの声、
届いて、ないのかなっ、て…!
ずっと、
自分の声で、伝えたかった、から…」
『好き』を自分の声で
わたしがずっとしたかったこと
空くんに告白した時、
怖かった
伝えたいのに、
伝わらないのが怖い
想いを伝えることで
友達のその先へ、
永遠にいけなくなったら怖い
相手の気持ちを聞きたいのに怖くて
思わず耳を塞ぎたくなる
そんな思いがぐるぐる巡った