しばしの沈黙




そして、意を決したように


伊織が、息を吸い込む音が聞こえる


どこか、再び遮ろうとした自分がいた


なんでこんなに、怖がってるんだろう


大好きな人が、


一生懸命、伝えようとしてくれているのに




いつから、
こんなに意気地なしになったんだ?




何があったって、想いは変わらない
そのはずだ


前を向こう


まっすぐに、伊織を




伊織の目は、まっすぐ
強い意志を持って、俺を射抜いた





「そ、ら君、…あのね


伝えたいことが、あるの」



小さい声、震える声


でも、どこか心にまっすぐ吸い込まれるような、そんな声



初めて会った時は、会話もできなかったのに



「…これ」


差し出された、手紙


真っ白な封筒に入れられた手紙



カタカタと、手紙を持つ手が震えていた


そっと、受け取る


受け取ったのを確認して
伊織はまた、息を吸う


その一瞬は、何倍も長く感じた