手紙をポケットに戻す


いつか渡せる日が来るといいけど


今日、いろいろあったしなぁ


すこし声を荒げてしまったし


でも


伊織の言ってくれたこと


“笑っててほしい”


「俺も、伊織に笑ってて欲しいのに…」


上手くいかない


伊織を泣かせたくないのに


伊織の言葉が、俺はすごく嬉しかった


気持ちが強くなった


伊織を思う気持ちが…


寝転がったまま、手を上に伸ばす


自分の手と、部屋を照らす照明のひかりが重なった


伊織に、笑ってほしい


笑顔で、隣にいてほしい


一緒に笑っていたい


…伊織が好きだ


ぎゅっと、手を握った