わたしの切り方があまりにも酷かったようで


李亜さんが整えてくれた結果



背中を覆い尽くしていた長い髪が、
肩あたりまで短くなった


李亜さんは、髪を切るのが上手で


髪を撫でられるたびになんだかくすぐったいような、安心するような…


それから、


ぱさり、ぱさりと髪が軽くなるたびに


重い髪が落ちていくたびに


空くんとちゃんと向き合っていけるような気がして


変われてるって、勇気がもらえてるような


そんな不思議な気持ちがした


「はい、完成〜!」


李亜さんが、なんだか嬉しそうに声を上げた


もう、鏡に映るわたしは全然別人のように見えた


おはよう、あたらしいわたし


「すっごく似合ってる!
すごくいい!可愛い〜!


というか、わたしすごく上手い⁈」


李亜さんが、わたしの手を取ってぴょんぴょこ跳ねる


少し自分を褒めたところも李亜さんらしくって、可愛さが倍増して見えた


「ありがとう、ございます!
…頑張らなくっちゃ」


自分だけじゃ、こんなに綺麗に行かなかったと思う


すっごく、感謝


李亜さんみたいに可愛い女の子に、可愛いって言われると
くすぐったいような、
少し恥ずかしかった





…あ、ひとつ思い出した


クラスの女の子が、言ってくれたこと


「李亜さん、もう、ひとつ。
お願い、いいですか…?」


「何ー?どんときなさーい」


もう、李亜さんはノリノリだ


「前髪、切りたいんです。
教えて、ください…!」


“前髪、切ったら?”


長い前髪も、もういらない気分


もうわたしは、隠れない


「よしきた、ハサミは横に入れちゃダメ!縦!」


すっかり先生のような口調になった李亜さんに


元気よく返事をして


またわたしはハサミを握った