空き教室から、図書室に戻った
もうすぐ部活の時間も終わるかなってくらいには
外は暗くなってた
図書室の先生に頼んで、本を一冊借りた
…あの、いつもの本
その本に、手紙…というよりも
メッセージを挟んだ
それからまた走って一年生の教室の方へ移動する
廊下は走っちゃいけないんだっけ
でも、ごめんなさい
走りたい気分なんです
「空くんの…教室…
何組だっけ…」
一年の教室がある棟にはたどり着いたけど、ちゃんと組を聞いたことなかった
頑張って古い古い記憶を頭の中でたどる
…1組、だったかな
どこかの、他愛もない会話の中で
そんなことを言っていた気がして…
とりあえず一組の教室に飛び込んだ
…大抵、教卓の上に座席表がある、はず
確認すると、確かに
“速水 空”
の名前
一番後ろの、窓際の席
ここにいつもいるんだね、空くん
机の中に、借りてきた本を入れた
メッセージを読めば、
きっと空くんはわかってくれるはず
明日、告白を聞いてくれるはず
あとやるべきことは、ひとつだけ
わたしはまた、教室を出て走り出した
…ちょっと空くんの席に座りたくなって、座ってみちゃったのは内緒の話