昼休みの間に教室に戻ると、湊と優里が迎えてくれた


ごめんね、心配かけて


そう言ったら、2人はいつも通りに


おかえり


と言って、笑った


朝、詰め寄ってきた女の子たちは謝ってくれた


わたしが悪いのに、なんだか申し訳なかった


でも、少し治った視線だけど


ひときわ強いのを感じた


視線の出どころは…?


クラスで目立つ感じの女の子たちだった


わたしと、彼女たちの視線がぴったりあう


背けたら、負けな気がして


じっと、見つめ返した


女の子たちは立ち上がって、こちらに向かってくる


湊がすぐに反応して、ガタッと席を立った


「何かする気…?」


湊の顔が険しい


「手ぇ出しちゃダメよ」


優里も視線を鋭くしていた


これは、中学の時の光景と一緒


たまにちょっかい出しにくる女の子達から


わたしを守ってくれる2人


久しぶりにみる光景


でも


このまま、また2人に任せてしまったら
守られていたら


強い自分に


あの本の、理想の女の子に近づける?


「…湊、優里。自分で、話す」


きっと、また遠ざかる
はっきり、させなくちゃ


ふたりとも、驚いてこっちを見たけれど


うなずいて、席に着いた


…湊は相変わらず、顔が険しかったけど



「ねぇ、藤咲さん」


女の子が、3人
そのうちは2人は付き添いみたいだけど


やっぱり、なんだか迫力があって


負けそうだ


でも、頑張ろう


制服のポケットを軽く押さえて


わたしは席を立った