涙が本のページを濡らそうとした時


風でページがめくられた


そこにあったのは


空くんからの手紙


「あ…!」


思わず小さく声が漏れた


折りたたまれたそれを急いで、でも丁寧に開く


『伊織


応援ありがとう!今までで一番頑張れた!


誰のどんな声よりも、
伊織の声が一番大きかったし


なんかうまく書けないけど、すごく心に響いたというか…


ごめん、うまいこと書けないけど嬉しかった。ありがとう


伊織も応援が必要だったら言えよ!
俺、いつでも応援するから』


最後に大きめに『頑張れ!』の文字と
少しゆがんだニコちゃんマーク


相変わらず、少し悪筆


でも、やっぱり
大好きだ


溢れかけた涙を拭った


泣かない、泣かない


もう今までに、十分泣いてきた


手紙をもう一度丁寧に畳み直して、
制服のポケットにしまった


これがあるだけで、視線だってのに超えられそうな気がする


わたしは図書室から一歩、外へ踏み出した