「何?なになに今のっ‼︎
すっごいテンション上がる!」
「ちょっと優里…こっちは混乱してるのに…」
恋愛沙汰が大好きな優里は、
すごく楽しそうにしているけれど
わたしは何がなんだか、といった感じ
「速水のやつ、噂、否定しなかったわね」
優里のテンションがもとに戻った
わたしの混乱ぶりをみて、すぐにわたしに合わせてくれる優里はやっぱり大人
「でも、流しただけかも…」
「嫌だったら否定するわよ。
あんな慌てた速水、初めて見た」
慌ててた?
…よくよく考えてみれば
児玉くんの背中を叩いた様子は慌ててたようにも見えた
早足で、さっと行っちゃったし
「ま、あんまり気にしすぎも良くないし?噂については、すこし探り入れてあげるからさ」
優里は顔が広いから、助かる
「うん、ありがとう。
空くんの試合、見てくるね」
「え、わたし用事あるから帰るけど…
大丈夫?」
「うん」
噂はやっぱり気がかりだけど
今は、空くんのことを見ていたかった
優里に別れを告げてから、一人で体育館に戻った
すみっこの方に座って、コートを駆け回る空くんを見た
やっぱり空くんはいつでも輝いていて
そんな空くんを見ているだけで
幸せだった