「おーい、空!何してんだ?」


遠くから声が聞こえた


ユニフォームを着てる、男子生徒
バスケ部の子、かな


「応援に来てくれた子に、お礼!」


空くんも大きな声で返した


男子は、だんだんこちらへ近づいてきた


「あれ、うちの、クラスの…?」
「あー、いたわね、うちのクラスにも男バスの…」


クラスが一緒の男子、児玉くんだった


「あれ、藤咲さんと、優里ちゃんじゃん」


わたしだけ名字でやっぱりまだクラスのことは距離があるんだなって感じる


「空〜、お前、彼女はともかく優里ちゃんにも応援に来てもらったのかよ、
羨ましい!」


悔しそうに、空くんを見ている


彼女?
謎発言に、わたしはつい児玉くんをじっと見てしまった


「おい、彼女って?」


空くんが聞き返す



「彼女だろ?」


「だから、誰のこと…」


不思議そうに、児玉くんは、わたしと空くんを交互に見つめた


「藤咲さんのことだって。
…お前ら付き合ってんだろ?」


時が止まった、そんな感じがした


「「え?」」


わたしと、空くんの声が重なる


「噂になってんぞ、違うのか?」


優里の、にやにやした顔が見えた