また、影が一つ増えた
「あ、初瀬の友達、だっけ。」
ふらっと、現れたのは
「彼方先輩…おつかれ、さまです」
タオルを肩から下げて、こっちにやってきたのは、彼方先輩
いつも名前で読んでいた湊のことを名字で読んでいるあたり、本当にふたりの間に何かあったんだって、感じた
「応援、ありがとな。…初瀬は、って
あいつも試合か」
「ちょーーー田舎って、言ってましたよ。あの子。やけに緊張してたし…。
気になります?」
優里が、にやにやとふざけた感じに声をかけるものだから
「…別に。差し入れ、助かった」
と一言言って、彼方先輩はどこかへ行ってしまった
「…優里、怒ってるよきっと」
最後、怒ったような顔をしていた気がする
きっと、怒らせると怖い人だと思う
「…きっと、電話かけるわよー。湊に」
あの子の試合、もうすぐ開始だしね、
と優里が、心配してる私をよそに楽しそうににやにやしていた
優里は、こういうの大好きだからなぁ
そんな優里をみて、
「北条、すごいんだな…なんか」
と、空くんもなんだか驚いた様子だった
学年内で、一番の美女とも噂される
北条 優里のこんな一面を見たら
誰でもびっくりするんだろう
「びっくりする、でしょ?」
「うん、すごく」
なんだか何気ない会話が始まって
とてもいい雰囲気になった