そのあと、「フルーツタルトも食べたいな」
なんて、空くんからのいじわるなお願いもあったけれど
悲しいことに、わたしは不器用で
うまく切り分けることができなくて
「次は、絶対もらうから!」
なんて空くんは、許してくれたけど
「次」の約束がとても嬉しかった
お店を出て、少し歩いて大きな公園へ行った
今思うと、落ち着いた場所を選んでくれているのは、わたしのことを考えてのことなのかな、なんて思う
人混みは、正直にがて
だから、そんな優しさにもきゅんとなっちゃう自分がいる
…この公園には、街を見渡せる展望台があるんだって
日も少しずつ落ちてきて、周りはオレンジ色に染まり始めている
展望台への道を進むと、
一面、コスモスの花が広がっていた
「…きれい」
「…夏はひまわり畑になるんだよ、ここ」
風に吹かれてコスモスがさらさら揺れている
「ひまわり…見たいなぁ…」
「ひまわり、好きなの?」
ポツリとつぶやいた言葉を空くんがさらりと拾ってきいてくれた
「…うん」
空くんを、初めて見たとき
初めて笑顔をみたとき
太陽みたいで、キラキラで
ひまわりみたいだな、って思った
それから、ひまわりが大好きになった
「じゃあ、夏にまた来ないとな」
「うん…!」
2人の手と手が触れ合って、
戸惑ったわたしの手を空くんがふわりとつないでくれた