「あああああーーーー!!!」


「伊織!うるさいわよ!」





わたしはやらかしてしまった


いわゆる、寝坊


約束の時間はお昼すぎだから、まだ時間はあるけれど


…朝早くに起きて、しっかり準備しようと思ったのに!!


寝すぎてしまって、予定よりだいぶ遅い


おまけに、髪の毛なんてところどころ、
あちこちにはねていた


ど、ど、ど、どうしよう…!!


間に合う…のかな


その時、


「「お邪魔しまーす、伊織いますか?」」


湊と優里の声がした


なんで⁈


どんどん2人の足音がわたしの部屋に近づいて…


「伊織〜?デートの準備はどうかしらー?って、なにその頭!」


2人は部屋に入ってきた


「助けてふたりとも…!」


ナイスタイミング!
頼ってばかりで申し訳ないけど、ここは2人に、特に優里に頼るしかない


優里は手先が器用で、ヘアアレンジが大の得意


「心配で見に来たけど、やばいかんじ?
まだ時間はある?」


「す、少し…」


「よし、まっかせなさい!」


優里はテキパキ動いてくれて
数分後には寝癖は綺麗に治って


コテでゆるーく巻かれた髪は、ハーフアップにまとめられた


編み込みとか入れ込んだ、優里特製のヘアアレンジ


自分じゃとてもここまでできない
さすが、優里はほんと完璧な女の子


それから、ワンピースをきて鏡の前に立ってみる


「…やっぱり似合わないよ」


いつもの自分じゃないみたいで、すごく恥ずかしい


「何言ってんの、似合ってるわよ」
「すごい似合うって!ほら、時間時間!」


恥ずかしくて、鏡から目を背けたわたしの背中を


2人は優しく押してくれた


玄関で、ぴかぴかの靴を履いて準備はok


「いってきます」
「「いってらっしゃい」」


3人一緒に外に出て、2人に送り出してもらって


わたしは、走りだした