「そろそろ…帰宅しろ、お前ら」
空気を読んで、気配を消してくれていた先生がわたしたちに声をかけた
そうだ、わたしたちがこうやって話している間、ずっと先生は待っていたわけで
というか、全てを見られていた…?
先生に申し訳なく思いながら、恥ずかしさが倍増する
は、はやく学校を出たい!
恥ずかしすぎて、もう速水くんと話せる気力もない…!
「ごめんせんせ!さようなら!」
速水くんがそう先生に言って、わたしの手をとった
「伊織、行こう」
速水くんに手を引かれて、昇降口へ向かう
あったかいな、速水くんの手
夜の学校なのに、安心する…
そして、あっという間に昇降口について、靴を履き替えて校門を出た
「まだ伊織に話したいことあるんだ、一緒に帰ろう?」
ずっと、夢だった
速水くんと一緒に帰ること
叶いかけて、叶わなかったこと
速水くんから、誘ってもらえると本当に嬉しい…!
うん、とわかるように頷いた
赤い顔を見られるのが恥ずかしくて、手を引かれながら速水くんの少し後ろを歩いていたけれど
少し勇気、出してみようかな
距離を詰めるように駆け足
行きたかった、速水くんの隣に立ってみた