「あ、えっと、手紙!ぶ、文通が…好きです…!」
「文通!俺、やっぱり伊織とのやりとり楽しいから、さ…!」
わたしの口から出た付け足しは、速水くんとタイミングも内容もまったく同じだった
わたしたちは見つめ合う
速水くんも赤い顔、きっとわたしは速水くん以上に真っ赤
そこに、驚きの表情が混ざって
ついに私たちは同時に吹き出した
「なんで全く同じなんだよ…!
伊織、かぶせるなよ!」
「は、速水くんも…でしょ!」
夜の学校で、こんなに笑うのは初めてだった
速水くんも、お腹を抱えて笑って
わたしも今までにないくらい笑った
「やっぱりさ」
笑い疲れて、ひぃひぃ言った後
速水くんは口を開いた
「伊織は、笑顔が似合うよ」
不意打ち
いつものあの素敵な笑顔で、そんなこと言われたら
もう、どうしようもないくらい
「好き」が強くなるしかなかった