速水くんが、部活に来ていない…?
そんなこと、ないと思った
実は速水くんはバスケがとっても上手で、手紙にもよく部活の事を書いてくれていた
部活の楽しさが伝わってくるような、そんな手紙ももらったことがあるくらい
なのに、長い間やすむなんて少し変だ
「理由…わかりますか?」
「うまく言えないけど…たぶんあんたが関係してる。
悩んでて、部活どころじゃないってさ」
わたしが関係してる、それだけでどきっとした
やっぱりわたしは彼を傷つけてしまったのかな
「あとさ、お前ら最近なんかあっただろ」
な、な、なんでわかるんですか…!
冷静にズバズバ当てていく彼方先輩は魔法でも使えるんじゃないかとなんて思う
「当たりだな。顔に出てる」
「そう、です。わたしの…せいで…」
わたしのせい、口に出すともっと重く心に響いた
泣きそうになったわたしを見て、彼方先輩は困ったような顔をして、そのあとわたしの頭に軽く触れた
「よくわかんないけど、空はきっとお前を迎えに来ると思う。そういうやつだから。あんたも空を待っててやってよ」
本当に、来てくれるかな
先輩を見上げると、相変わらず先輩は困り顔
先輩はわたしの頭を軽く叩いた
「いっ…!」
「俺部活行くから。お前そんな顔だと空に笑われるぞ。ニコニコしとけ」
手をひらひら振って体育館に先輩は入っていった
そう言われて、持ち歩いてる鏡で自分を見てみた
「…ヒドイ顔」
まぶたが赤くなって、鼻も少し赤い。
この顔を見たらなんだか笑えてきた
待ってて、いいんだね
うん、待ってみよう
にこにこ笑えてる気がした
先輩の魔法にかかった、そんな気分だった