そろーっと体育館の中を覗く
中では、バスケ部がいつも通り練習していた


たくさんの部員の中から、速水くんを探し出すのが少し楽しかった


でも


あれ?もしかして速水くん、お休み?


いくら探しても、速水くんが見つからなかった
どうしたんだろ、怪我かな、病気かな
心配で頭がいっぱいになる


そんな時、


「おい。」


急に上から声が降ってきた
ものすごく落ち着いた、なんだか聞き覚えのある声


ゆっくり振り返る
もし、不審な人物だったとしても、全力疾走しよう、そうしよう


そこにいたのは


「ミナの…いや、初瀬の友だち?だろ
何してんの?」


(…彼方先輩!)


湊と仲が良い?バスケ部の先輩だった


…ミナって一瞬言ったよね?きっと湊の事なんだろうけど


今まで普通に名前で呼んでいたのに、急に名字に言い直したのがなんだか気になった


もしかしたら、2人はもっと仲良くなってしまってるのかな?
言い間違えて、でも気にしてないふりしている先輩はなんだか可愛かった


「あの…速水、くんは…?」
久しぶりにまともな声を出せた


帰ってきた答えは、思っても見ないものだった


「空、あいつ最近部活来てないんだ」