保健室を飛び出した俺は図書室に一直線
伊織が行きそうな場所、といってもここしか思い浮かばなかった
もう部活動をしてる生徒も帰り始めていて、校舎内はすごく静か
もしかしたら伊織も帰ってしまってるかもしれない
…まだいてくれよ、伊織
ちゃんと話したいんだ
呼吸と想いで胸が苦しかった
そして、図書室にたどり着く
「伊織!」
勢いよく扉を開けた
まだ中に残っている生徒が驚いてこっちを見た
その中に伊織は見当たらない
残っている生徒も帰る準備をしていて図書室を出て行こ
うとしていた
最後の望み、いつもの本棚
もうここしかなかった
「伊織…?いる?」
そこには、伊織はいなかった
手紙、手紙があればまた連絡が取れる!
そう思っていつもの本を手に取る
そして、すぐに手紙が出てきた
よかった、と少し安心する
でも、その内容は終わりを告げるものだった
「…嘘だ」
もう文通をおしまいにする、という文字を見て思わず口から声が出た
あんなに、俺の手紙が好きだって今さっきまで笑っていてくれたのに
文通続けようって、言ったばっかりだよな…?
そんなに俺は伊織を傷つけてしまっていたのか?
そうだ、携帯!携帯で連絡取れば…
「俺、連絡先知らないや…」
考えてみれば、連絡先以前の問題で、
伊織がどこに住んでいるのかも知らなかった
手紙で長い間会話してきたけれど、何組かも知らないし、誕生日だって血液型も家族構成だって知らない
「俺、伊織のこと全然知らないんだ…」
手紙が絶たれた今、どうすればいいのだろう?
俺はこれから数週間、悩み続けることになる