『空くん
今日は逃げちゃってごめんなさい
それと、やっぱりもう文通はこれで最後にします。急にごめんなさい
文通、すごく楽しかったよ
最後に、ごめんなさい
わたしは空くんの事が好きでした
友達になってくれて、ありがとう』
この手紙をあの本に挟むのにどれくらい時間がかかったんだろう
挟みたくなくて、でも仲良しな2人を見るのは苦しくて
前に進みたかったけれど、すでに目指していた場所には李亜さんがいるんだ…
涙をこらえるので必死だった
図書室だし、泣いたら迷惑だよ
そう言い聞かせた
結局わたしは、手紙を本に挟んでいつもの通り棚に戻した
そこから、少しの時間がたって迎えが来た
わたしにとってはものすごく長かったように感じた
「伊織〜!迎えに来たよー帰ろ!」
という、湊の元気そうな声が聞こえて、優里のいつものあの、優しそうな笑顔を見た途端、わたしは2人の元に走り出して飛び込んでいた
2人をみたら安心してしまって頑張って堪えた涙も溢れてきてしまった
「苦しい…痛いよ…!」
心が痛い、壊れてしまいそう
こんなにもわたしは空君のことが好きなのに
気持ちは誰にも負けないのに
ちゃんと「好き」は、自分の声で伝えたかった
「ちょっと伊織?どうしたのよ。
どこか痛いの?」
と優里が声をかけてくれたけど、涙が止まらなくて答えることができなかった