「何作ってくれるの?空がご飯作るなんて珍しいね」
やめて
「そうかな、カレーでいい?」
やめて
「カレー!空の作るやつ、美味しいんだよね〜」
もう、聞きたくない
好きな人が、他の人としてる会話なんて聞きたくない
仲の良さを見せつけられてる、そんな感じがしてしまって心が苦しい
「あ、伊織にはまだ李亜のこと紹介してなかったよね」
そう言って空くんはこちらに会話を振った
俺の彼女です、なんて言うのかな
そんなの、そんなの絶対聞きたくない
好きな人にもう素敵な相手がいた、なんて、こんなわたしに勝ち目なんてないじゃない
空くんの隣に居たいのに、それももうただの夢で終わっちゃうなんて
そんなの、嫌
「こちらは、李亜。俺の…って、伊織⁈
どこ行くんだよ!」
空くんの話を聞く前に、わたしは保健室から飛び出していた