速水くんがわたしを受け入れてくれて、なんだかわたしはすごく安心してしまった
胸がきゅっと苦しくなって、ぼろぼろ涙が溢れ出した
「い、伊織⁈大丈夫?まだ痛む?」
なんて、速水くんは心配してくれたけどわたしは胸がいっぱいでちがうよ、と頭を振ることしかできなかった
「あ、伊織これ。」
といって速水くんは自分の携帯を取り出して私に渡してくれた
「今は紙とか持ってないからさ、これあれば話せるだろ?」
確かに、これなら自分の気持ちを伝えられる。速水くん、気を使ってくれたのかな
どこまでも優しい速水くんに、わたしはなんとか今の気持ちを伝えることにした
少し長くなってしまいそうだけれど、頑張って携帯に文字を打ち込む
『こんなわたしを受け入れてくれてありがとう。今まで色々あったから、言うのが怖くてなかなか言えなくてごめんね。
嬉しくて泣いちゃってごめんね。
速水くんありがとう。』
文字を打った画面を速水くんに見せる
画面を見た速水くんはまた優しく頭を撫でてくれた
「こちらこそ。俺に教えてくれてありがとう。伊織、泣かないでさ、もっと笑ってよ。」
と優しく言ってくれた
あともう一つ、速水くんに言いたいことがあった
『もうひとつお願いなんだけど…
こんなわたしでも、文通続けてくれますか…?』
わたしにとって文通はとても大事なものだから、ずっと続けていたい
もし、終わってしまったらなんて考えたらすごく怖かった
この画面をみた速水くんはすごく驚いた顔をして、すぐ返事をした
「やめるわけないだろ!俺は伊織と文通してたいから。
手紙、また挟んどいて。絶対返すから」
即答でこの返事
胸が苦しいを通り越して痛いくらいだ
「それから!」
速水くんが続けて口を開いた
「速水くん、って呼ぶの禁止。
これからは、空って呼んで?」
速水くんを、名前呼び…⁈
『いいの…?名前で呼んで。」
「もちろん。読んでもらえるの、楽しみにしてるから。」
嬉しくて体がなんだかむずむずする
そ、ら
声は出さずに口を動かしてみた
…すごく嬉しい
自然と顔が笑顔になってしまうくらい
「伊織、ニコニコしすぎ。」
という指摘が飛んでくるくらいに分かりやすく顔に出ているみたい
『だって、すごく嬉しいから。
空くん、ってずっと呼んでみたかったの。それに、空くんの手紙がすごく好きだから、続けられて嬉しい。』
携帯だから、普通に空くんなんて書けるけど、実際はきっと言えないかも
自分の声で、こんな風に伝えられるようになれるといいのに