……


…あれ、わたしどうなったんだろ


速水くんの練習を見に行って


それから…?


うぅん、あんまり思い出せないなぁ…


…なんだかあったかい
それに、すごく心地よい揺れがあって眠ってしまいそう


おふとんみたい…


睡魔の誘惑に負けそうになりながら、そっと目を開けてみる


急にパッと目の前が明るくなる


…⁈
速水くんの顔が目の前!


周りの風景は学校の廊下で、移動しているみたい


でも、あれ、わたしの足は床についてないし


よくわからないけれど
意識がなくって、速水くんの顔は近くて、体が支えられてるような感覚


…もしかしてだけど、もしかして


速水くんにお姫様抱っこ、されてる?


ちらりと廊下の窓に映る自分を見てみる


窓にはばっちりお姫様抱っこされる自分の姿が映る


されてる。
お姫様抱っこ、されてる!


うわ、恥ずかしい…!


私重くないかな
今まで意識なかったみたいだけど、変な顔してなかったかな


あ!あと髪とか、ボサボサじゃないかな


いつも気にしないことが、急に気になってしまう


速水くんはどうやら保健室へ向かっている様子


あともう少しで保健室についてしまいそう


…あと、もう少しだけこのままでいたいな


速水くんは、わたしの運命の王子様


わたしはお姫様になれますか?


あとほんの少しでいいから、あなたのお姫様でいさせてね