「すまない。」
やっぱり、道具なのね…
「お前に勘違いさせてすまない。」
え…?
私の心の鍵を持っていたのはやっぱり
剛なのかな。
「確かに、琴子さんが亡くなったと聞いた時は、恩を返したい。琴子さんの家族に恩を返したい、そう思った。
葬式、俺行ってたんだぜ?お前、全く気づいてなかったけどな…」
驚いた。剛は葬式に来てくれてたんだね。
「お前、すっごい目に涙溜めて、泣くのこらえてて…俺、
一目惚れだったんだよ…。
初めてだったんだ、女を綺麗だって思ったこと。
守りたいって思った。
おい、そんな顔すんな。」
私は剛の言葉だけで判断して、結論を聞こうとしなかった。
そう思ったら悲しくなる。