私と拓海さんは自己紹介をしつつ夜の街を歩く。

会話もだいぶ慣れてきたところで拓海さんが

「お腹すいてない?どっか食べに行こうか。」

と私に聞いてくれた。
そういえばもう夜の8時を過ぎた頃だ。
思い出すとお腹が空いてきた。

「はいっ」

私は元気よく答える。

「弥柚は何が好き?」

と聞かれる。
私の好きなもの…

「私、特にこれが好きって物がないんです。ただ、好き嫌いはしない方です。」

正直に答える。

「そうなんだ…。じゃあ個室でゆっくり出来るところがいいかな…。」

外食で個室のところなんて入ったことのない私は少し驚く。
けれども確かに人目が無いところの方がいいかもしれない。

拓海さんはまだ何かを考えてる。
何を考えているのだろうと思った瞬間拓海さんが口を開く。

「制服はちょっとまずいよな…。」

そう呟いたかと思えば

「ご飯の前に行きたいところがあるんだ。」

そう言い拓海さんは私の腕を掴みタクシーに乗る。

どこにいくだろう…。
不安と期待が入り交じり複雑な気持ちのまま乗ること15分。

いきなりタクシーが停まる。

「お客さん、着きましたよ。」

その声を合図にタクシーのドアが開く。

タクシーから降りると多分人生の中で数回着れるかどうかもわからない様な高そうな服が売っているお店についた。