「はいって…」
その人は私の言葉が面白かったのかクスクスと笑いながら独り言っぽく呟く。
なんだか私も恥ずかしくなってきた…。
頬が熱くなるのを感じる。
「高校生の女の子がこんなとこで1人でなにやってるの?」
まだ少し笑いながらもその人は私に問いかける。
…言わなくちゃいけないのかな?
でもいうと恥ずかしいし…
そんな思いが私の中をぐるぐると駆け巡る。
するとその人は何かに気づいたように
「言いたくないなら言わなくていいよ」
と言ってくれた。
私がホッとした瞬間その人はまた口を開く。
「その代わり今日この後の4時間3万で俺に頂戴?」
と。
…。
私の思考回路が停止した。
なにを言っているのか考えようとしているとその人は
「聞いてる?おーい。」
と私に呼びかける。
その声で止まっていた思考回路が動き出す。
別にお金が欲しいわけじゃない。
けど普通のバイトで3万稼ごうと思ったら4時間でなんてとてもじゃないと無理よね…。
どうしよう。悪い人じゃ無さそうだし…。
でもついてって殺されたりしたら?
まあいいか。誰も私なんかが死んだってなんとも思わないよね。
普段のあたしなら絶対に拒否をしていたのに
この時の私はもうなにもかもがどうでもよく思えていて気がついたら承諾してしまっていた。
これからどんな思いをするのかも知らずに…。