キーンコーンカーンコーン…チャイムが鳴っている。教室はザワザワと、まぁ、よくある高校生の教室内だ。そこで、私はいつも通り、おはようとだけ小さくつぶやいて席に着く。私が席についたところで何も変わらない。誰もあいさつを返さない。まぁ、返してくれることを期待してあいさつしたわけではないのだが…もちろん、誰1人私の周りには寄ってこない。正直に言おう。私はボッチなのだ。これは、今に始まった事ではない。小学生の頃は、比較的明るい性格で友達も多かった。毎日が楽しかった。しかし、中学校に上がるとともに人間関係が面倒だなという思いを持ってしまった。これが、ボッチ人生の始まり。それからは、元同級生とは、ちょこちょこ話していたが、次第に彼らにも彼らの仲間が出来たため、そちらに行ってしまった。そして、完全なボッチになった。中学校3年間誰も話しかけてくれなかったわけではない。私と友達になりたいという物好きが話しかけてくれた。しかし、「友達にならない⁉︎私とあなただったら、きっといい友達になれると思うの!」「え…そっちが勝手に思ってるだけでしょう?私、友達とかいらないから。いたところで面倒なだけだし。ごめんね?あと、私とあなたじゃ、釣れないと思うの。つまりは、いい友達なんて決してなれない気がするの。」と、いう会話をしたところ、相手は激怒して去っていった事がある。あれはー。やはり、私が悪かったのだろうか?そりゃ、そうだ。私が相手をバカにしたんだもの。そりゃ、怒るよね。自然に笑みがこぼれてきた。あーぁ、面白い。こういう話は面白いと思う。毎日が退屈にならないと思う。いつの間にかお昼の時間になったから、私はボッチのお弁当タイムをとることにした。ボッチの弁当=トイレという固定概念があるが意外とそんな事は無い。屋上とかで食べればなんの問題も無いのだ。階段を登って…来た。私の聖地。私だけの空間。私だけの場所。そして、私が…。⁉︎⁉︎⁉︎えっ⁉︎見ると、壁側に綺麗な着物を来た男が立っていた。そして、こちらをずっと見ていた。まるで、私が来るのを待ち構えてたように。あれぇ?この学校にコスプレ部みたいな部活動あったかなー?それにしても、なんて綺麗な着物なんだろう…「おい。お前。」と、唐突に男が話しかけてきた。私は、声の主に顔を向けた。男が言った。「お前か。小桜家の人間は。全く…何がどうなってこの世界に来ただか…。帰るぞ。」と言って、手をグイッと掴まれた。私は唐突すぎて理解出来なかった。「あの…、いったいなんなんですかあなた?この世界って?帰るってどこに?」私が聞くと、男はポカンとし約0.3秒後にものすごい剣幕になった。「ああん⁉︎なんなんですかあなただって⁉︎ふざけてんじゃねぇよ!こっちの世界に来てから頭がいかれたのか⁉︎桃花さん…大丈夫か?」しばし静寂…ん?桃花?どっかで聞いたことある名前…あっ!桃花!小桜とうか!母さんの名前だ!この人勘違いしてる!なーんだ、母さんの知り合いかぁ…「あの、人違いだと思いますよ?私の名前は小桜花蓮。かれんです。桃花ではありません。桃花は母の名前です。」私が笑顔で答えると、男の顔がみるみるうちに青ざめていくのが分かった。あれ?…「おい!今、なんて言った⁉︎小桜桃花の娘だと⁉︎この世界で家族作ったのかあの方は…⁉︎しまった…これは、大失態だ。これでは大旦那様に叱られるどころでは済まんぞ…まぁ、いい娘!お前の家まで案内しろ。桃花さんを連れて帰る。」…え?連れて行け?帰る?何の話か分からないんですけど?何なの、この男!意味分かんない!でも、一つだけ言えること。お母さん。あなたは一体何者なのですか?この男、あなたとどういう関係なのですか?あなたと過ごしてきた16年間。知らないことが多すぎる。グルグル考えを巡らせてたら、男が私をヒョイッと抱っこして、屋上から飛び降りた。「いっやぁぁぁぁぁ!」すると、フワッと体が軽くなった。あ、もしかして、私死んじゃったの?なんか、最後って…悲しいなぁ…と、目を開けて見ると空を飛んでいた。人が乗れる程度の扇子の上に私達はいた。あ、これって魔法の絨毯みたい。楽しい♪そして、分かった事。この人、普通の人じゃない。いつも通りの日常、つまらない日々がこうして、終わったのであった。