side 千

「...下野くん、泊めてくれる?」

「喜んで。」

何に喜んでいるのかな。
この子の考えていることはわからない。
さっきはあたしのことを可愛いってたし。
まったく、わからない。

「...家には電話しなくていいんですか?」

「萌がしてくれる」

「そうですか。」

萌には感謝しなきゃなぁ。

「あ、下野くん親さんいらっしゃる?」

「...俺の親は今海外旅行行ってます」

かっこい...
海外でしょ?すご
行きたいなぁ。

「そっか。なら、1人?」

「ホントなら兄貴がいるんですけど、なんか彼女の家に泊まるみたいです」

「そっか。」

青春だなぁ。

「そうだ、泊めてくれる代わりに、龍にお礼したいんでしょ?」

「はい!!!!」

え、なんか目が輝いてるけど...
こわい...

「お礼って何するの?」

「これを渡すんです」

「なら、あたしが渡しといてあげるよ」

「え!?だだだだだだめですよ!!!!」

「なんで?」

「ここここここ、これは、そのー...」

見られちゃいけないものなのかな。

「あたし、見ないから」

「...ほんとですか?」

「そんなに信用されてないのかー」

悲しいなぁ...という顔をする。

「そそそ、そゆことじゃないですよ!!!!」

「ん?なら、どゆこと」

焦ってる焦ってる。
かわいいなぁ。
焦ってる顔が可愛とか思っているあたしはSなのかもしれない。