「ちょ、何言ってんのよ!
大体あんた、結菜はどうしたわけ!?」


「結菜とは別れた。
あの後ずっと考えてた、俺にとって左京はなんなのか。
幼馴染みとしか思ってなかったのは確かだけど...」

「なら、なんで...」


「でも、左京が俺の隣にいないのは嫌だった。」


は?

...なにそれ?

「...欲張りだね?
それ、私のことが好きなんじゃなくて、ただの独占欲だよ...」


「...左京の隣に俺じゃない奴がいるなんて考えられなかった。
嫉妬でどうにかなりそうだった。
左京の隣は、俺だけがよかった...」


陸矢は「都合良すぎだけど...」なんて言って黙ってしまった。


「...私が変わったから、そう思うだけ。
今更言われても、信じるなんて無理。

もう、私とあんたは...」


『なんでもない』

そう言いたいのに、声に出せない。


この言葉を言えば、ほんとに終わってしまう気がした。


もう、二度と目を合わせず声もかけられないようになってしまう気がした...



「左京...
じゃあ俺、これから挽回する。
お前に信じてもらえるように頑張るよ。」


「だ、から...っ!」

まだそんなことを言ってる陸矢に反論しようとしたけれど、そのあとの言葉は発せられずに私の唇は塞がれた。


短いキスだったと思う。


それでも私には、一秒一秒が永く感じられた。