日曜日。マフラーを編んでたら、珍しく家の電話が鳴った。
「もしもし、尾崎ですが……」
『尾崎さん? あたし、本田一穂だけど』
「珍しいね、話しかけてくるなんて。どうしたの?」
『あのさ……この前はごめん』
え……?
『瑞奈がいたから言えなかったんだけど、実はあんなこと……したくなかったの……』
「……そうだったんだ……」
『それで……有理もあたしと同じなの……ねぇ、私達って友達だよね……? この前は仲悪かったけど……』
「うん、友達だよ、私達!」
『よかった……瑞奈のことも許してあげてくれないかなぁ……?』
「うん、いいよ」
『ありがとう……! じゃあね』
「うん、また明日ね!」
そういって私は受話器を戻した。
本田さんから電話なんて、珍しいからびっくりした。しかも、この前のことを謝ってくるなんて。
――月曜日の朝。
私は8時に起きて寝坊してしまった。走って学校に行ったら間に合ったが、かばんを開けて気づいた。
「やばい……!」
教科書を全部家に置いてきてしまった!
しょうがない、悠太に借りよう……
キーンコーンカーンコーン……
朝のチャイムが鳴った。でも、悠太はまだ来てなかった。遅刻かなぁ……?
すると、教室のドアが開く音がした。
「遅れ……ました……」
ドアの方を見ると、息を切らしている悠太がいた。
「悠太、どうしたの?」
「ちょっと高校生の人に絡まれて……」
「もしかして、それって7月に私をナンパしてきた人達?」
「ああ、そうだよ。登校してたら前からあいつらがきて、喧嘩売られたよ」
私と悠太が話してると、先生が言った。
「こら、そこ! まだ朝学活中だぞ! 青春するのはいいが、イチャつくのは休み時間か彼氏か彼女の家にしなさい!」
周りからは、『ラブラブぅ〜♪』などと、ひやかしてる声が聞こえる。
そ、そんなんじゃないのに〜……!
「よせよ……照れるだろ?」
悠太のその一言で、教室がもっと賑やかになった。
だから……っ
そんなんじゃないってばー!!!
私は学校の授業が終わった後、ラッピングの袋などを買いに行った。
店に入ると、色んなものがあった。
どれにしようかみていたら、見覚えのある背中と髪型が見えた。
私と同じくらいの背の高さで、頭のてっぺんに2つの寝癖……
「……あれ? ……滝川?」
顔をみると、やっぱり滝川だった。
「おぅ、奇遇だなぁ! 立夏も買いにきたの?」
「うん。あ、よかったら一緒にまわらない? 舞の買いに来たんでしょ?」
「いいの? ありがとう! 藤野の買いに来たんだろ?」
「うん! 舞のもね」
「舞って何が欲しいんだろー?」
舞が欲しいもの……
「あ! この前一緒に遊んでたら欲しいっていってたものあった!」
「何て言ってた!?」
滝川がずいっと近くにきた。
「それが〜……」
いってもいいのかな、こんなこと……
「何が欲しいっていってた!?」
言うか……
「し……」
「し?」
「……下着……だって……」
「……」
滝川はそのまま停止した。そして、数秒後に、顔が赤くなるのを見た。
そうなるよね……
「……何色?」
「え?」
「なっ、何色の下着が欲しいっていってた?」
ええ!?買うの!?
「薄いピンク……だって」
「ありがと! じゃ、いまから買ってくる!」
やっぱいくんかいっ!
滝川は走って店を出ていった。
舞は驚くんだろうな〜……
私は店で買い物を続けた。
クリスマスの一週間前の日。
私はなんとかマフラーを編み終えた。そして、ラッピングもし終わってやっと息抜きができた。
すると、携帯に電話がかかってきた。
「もしもし、尾崎ですが……」
『あっ、立夏〜? 雪野舞だけど』
「舞? どうしたの?」
『あと少しでクリスマスだけど、プレゼント用意できてるー?』
「うん! ばっちり!」
『藤野君になにあげるの? マフラー?』
「うん!」
『そうなんだ! 健くんはなにくれるかなぁー♪』
「……」
下着……滝川は本当に買ったのかな……
『おーい! 立夏〜? どしたの?』
「……あっ、ごめんごめん! もう寝るからまた今度ね!」
『うん! じゃあね〜!』
私は電話をきって、ベッドに入って電気を消して寝た。
私は今、悠太の部屋にいる。そして隣に悠太がいる。
「……立夏……」
悠太は私の顎を持ち上げ、キスをしてきた。
そして悠太は私を優しくベッドに押し倒してきた。悠太の手が私のブラのホックを外し、悠太が服を脱ぎ始めた。
そして私と悠太は抱き合い………………
……夢……?
起きると、確かに私の部屋だった。
なんか、すごい夢みたな……
このあと悠太とデートするのに……こんな夢みたら……会いづらいよ……!
そう!今日はクリスマス!
待ち合わせ場所に行くと、悠太が先にいた。
「悠太ごめん! 待った?」
「さっき来たところだよ! ……立夏、今日メイクしてる?」
「うん! 舞とお母さんがしてくれたんだ!」
「そうなんだ! キスしたくなる……」
「あはっ、早いよー! じゃ、早速行こう♪」
私は悠太の手を握って歩き出した。
遊園地ではお化け屋敷に入り、私は悠太にしがみつきっぱなしだった。
そして今、悠太と観覧車に乗っている。
「わぁー……! 悠太、みてみて! すごい景色綺麗だよ!」
でも悠太は外を見ようとはしない。
「……おーい! 悠太どうしたの?」
すると、悠太がいきなり抱きついてきた。
「……怖い……」
え……?
「俺、高い所苦手でっ……だ、だから……降りるまでこのままにさせて……」
悠太が泣きそうな目で私を見つめてきた。
やばい……
悠太が……
かわいい……っ!