【完】私の彼氏は転校生。


すごい……なんか……なんか気持ちいい……。


体が溶けちゃいそう……


この時、私は思った。


……ここ、公共の場だよ!?しかも、道のど真中で!?


せめて裏道で……人通りが少ない所でしようよ……!


そう頭の中で言ってると、悠太の舌がもっと入ってきた。


あ……頭が……クラクラしてきた……。


悠太との長ーーいキスをしてると、足音がしてきた。


やばいよ、誰かくるよ!?
でも悠太はキスをやめない。


見られちゃうってばー!


そう思ってると、曲がり角から人がきた。


少し見てみると、そこには舞と滝川がいた。


みっ、見られた……っ!


その時、やっと悠太がキスをやめてくれた。


「……え? 藤野くんと立夏!?」


「……は? 藤野と立夏!?」


「「……が、キスしてたー!!」」






「……ん? 雪野さんと滝川? どしたの、こんなとこでなにしてんの?」


「それはこっちの台詞だ! 立夏にキスすんなー!」


滝川は少し目を赤くしながら言った。


嫉妬、まだしてるのか……?


「はぁ〜!? 立夏はお前のものじゃないだろ!?」


「うっ……それは……そうだけど……」


そこに舞も乱入してきた。


「そうよ! 今は立夏は藤野のものよ! 健くんはあたしのものだから、藤野くん気にしないでね〜♪ あと、立夏! 帰ったら詳しく聞かせてよね! ほら、健くん行くわよ!」


そういって舞と滝川は帰っていった。


健くんって……健吾の 健 からとったのか……?


2人を見送っていると、悠太がまたディープキスをしようと顔を近づけてきた。でも、私は断った。



あんな長いキスなんて……耐えられないしっ……悠太のバカ……。



でも……


好き……






このあと、舞にさっきの路上キスのことを聞かれた。……しつこく……ね。


そして、悠太からはメールがきた。


『さっきのキス、どうだった?気持ちよかった?』


「気持ちよかったけど、いきなりどうしたの??」


『立夏が可愛すぎてつい……』




気持ちよかったけどさ……いきなりすぎるよ……。


明日は学校が休みでよかった〜……


ディープキスした次の日に会うなんて……


舞達は……もうキス……したのかなぁ……?







CMで今気づいた……


あと15日で……


クリスマスじゃん!!!

ヤバイ……舞にも悠太にも用意してない!


舞は文房具、悠太は……





手作りマフラーにしよう!


私はマフラーを作るための糸を買いに、手芸専用店にいった。


確か悠太は青が好きだったよね……。


私は毛糸売り場で青の糸を探した。


うーん……水色と青でボーダーにしようかな。無地よりはまだマシだよね。


……ということで、私は青と水色の毛糸を買った。


15日で完成するのか心配だけど、やってみるしかない……!






日曜日。マフラーを編んでたら、珍しく家の電話が鳴った。


「もしもし、尾崎ですが……」


『尾崎さん? あたし、本田一穂だけど』


「珍しいね、話しかけてくるなんて。どうしたの?」


『あのさ……この前はごめん』


え……?


『瑞奈がいたから言えなかったんだけど、実はあんなこと……したくなかったの……』


「……そうだったんだ……」


『それで……有理もあたしと同じなの……ねぇ、私達って友達だよね……? この前は仲悪かったけど……』


「うん、友達だよ、私達!」


『よかった……瑞奈のことも許してあげてくれないかなぁ……?』


「うん、いいよ」


『ありがとう……! じゃあね』


「うん、また明日ね!」


そういって私は受話器を戻した。






本田さんから電話なんて、珍しいからびっくりした。しかも、この前のことを謝ってくるなんて。



――月曜日の朝。


私は8時に起きて寝坊してしまった。走って学校に行ったら間に合ったが、かばんを開けて気づいた。


「やばい……!」


教科書を全部家に置いてきてしまった!


しょうがない、悠太に借りよう……


キーンコーンカーンコーン……


朝のチャイムが鳴った。でも、悠太はまだ来てなかった。遅刻かなぁ……?


すると、教室のドアが開く音がした。


「遅れ……ました……」


ドアの方を見ると、息を切らしている悠太がいた。


「悠太、どうしたの?」


「ちょっと高校生の人に絡まれて……」






「もしかして、それって7月に私をナンパしてきた人達?」


「ああ、そうだよ。登校してたら前からあいつらがきて、喧嘩売られたよ」


私と悠太が話してると、先生が言った。


「こら、そこ! まだ朝学活中だぞ! 青春するのはいいが、イチャつくのは休み時間か彼氏か彼女の家にしなさい!」


周りからは、『ラブラブぅ〜♪』などと、ひやかしてる声が聞こえる。


そ、そんなんじゃないのに〜……!


「よせよ……照れるだろ?」


悠太のその一言で、教室がもっと賑やかになった。


だから……っ


そんなんじゃないってばー!!!






私は学校の授業が終わった後、ラッピングの袋などを買いに行った。


店に入ると、色んなものがあった。


どれにしようかみていたら、見覚えのある背中と髪型が見えた。


私と同じくらいの背の高さで、頭のてっぺんに2つの寝癖……



「……あれ? ……滝川?」


顔をみると、やっぱり滝川だった。


「おぅ、奇遇だなぁ! 立夏も買いにきたの?」


「うん。あ、よかったら一緒にまわらない? 舞の買いに来たんでしょ?」


「いいの? ありがとう! 藤野の買いに来たんだろ?」


「うん! 舞のもね」


「舞って何が欲しいんだろー?」


舞が欲しいもの……


「あ! この前一緒に遊んでたら欲しいっていってたものあった!」


「何て言ってた!?」


滝川がずいっと近くにきた。


「それが〜……」






いってもいいのかな、こんなこと……


「何が欲しいっていってた!?」


言うか……


「し……」


「し?」


「……下着……だって……」


「……」


滝川はそのまま停止した。そして、数秒後に、顔が赤くなるのを見た。


そうなるよね……


「……何色?」


「え?」


「なっ、何色の下着が欲しいっていってた?」


ええ!?買うの!?


「薄いピンク……だって」


「ありがと! じゃ、いまから買ってくる!」


やっぱいくんかいっ!


滝川は走って店を出ていった。


舞は驚くんだろうな〜……


私は店で買い物を続けた。