【完】私の彼氏は転校生。


え……!?


すると藤野君が顔を近づけてきた。
もしかして……キスされる……!?


そう思って目をギュッと閉じたら『クスッ』と藤野君が笑った。


「尾崎さんかわいい。俺、君が好きだよ」


……ぇええええ!?今のって、告白……!?


その言葉を残して藤野君は教室に入っていった。


私は廊下で立ち尽くしていた……






あの藤野君の突然の告白から1週間が経った。


私は学校を休んで自分の部屋にいる……。


「立夏〜!? 1週間学校行ってないわよ? 今日は行きなさい! まだ中学1年生でしょ!?」


下の階からお母さんがそう言っている。


しょうがないじゃん!告白……されたあとどんな顔して会えばいいかわからないんだもんっ……。


私はしょうがなく制服に着替えて、鞄に教科書やノートを入れて家を出た。


「行ってきまーす……」






はぁ……藤野君に会うのが辛いよ……。


登校ルートを歩いてると、前から高校生ぐらいのチャラい男2人が話しかけてきた。


「キミ1人? 俺達と遊ばない?」


え、これナンパ……!?


「……これから学校なので」


私は断って学校に行こうとした。すると、


「1日ぐらいいいじゃん! ほら、こっちに来なよ」


男が私の腕をつかみ、知らない道につれていかれそうになる。


だめだ、力が強すぎて振りほどけない……!このあと私、どうなっちゃうの……!?


怖いよ、誰かっ……、助けて……!!!






そう思った時後ろから声がした。


「――尾崎さん!? ……お前ら、尾崎さんをはなせ!」


えっ……?


振り返ると、そこには藤野君がいた。


「あ? 誰だ、てめぇ」


「俺は……、俺は尾崎さんの彼氏だ!」


ええええええーっ!?


「へぇー……。じゃあ力があるか試さなきゃ……ね」


男はニヤリと笑みを浮かべ、着ていたブレザーを投げ捨てた。


これって……まさか……。






男は藤野くんに殴りかかってきた。藤野くんは男のパンチをよけ、男を地面に叩き付けた。


「兄貴、大丈夫か!? ……てめぇ……!!」


もう1人の男がまた殴りかかってきた。


今度は藤野君がやられてばかりで男になかなか手を出せない。どうしよう……!このままじゃ藤野君が倒れちゃう、もしかしたら死……!


そう思った時、遠くから警察が駆けつけてきた。


高校生ぐらいのチャラい男2人は交番につれてかれて、藤野くんは男2人とたたかい息切れをしていた。






私は藤野君の顔をハンカチで拭きながら聞いた。


「藤野君……! 凄いケガ……大丈夫!?」


藤野君の顔の左頬と額から血が出ていた。


「うん、大丈夫……。それより早く学校にいかないと……」


私の薄ピンク色の腕時計を見てみると、さっきまで7時45分だったはずなのに、もう8時15分になっていた。


「やばい! 遅刻しちゃう! 藤野君、走れる?!」






私は学校にむかって走りながら藤野君に聞いた。


「ねぇ、なんでさっき藤野君があそこにいたの?」


「……だって俺の家、尾崎さんの家の隣だし」


「えっ……!? そうなの!? 気付かなかった……!」


そう話をしてる間に、もう学校に着いた。


「みっ……みんなおはようっ……!」


私達はチャイムがなる5分前に着いた。危なかった……!





はぁ……あと3日で夏休みだ。


私はお風呂に入りながら考えている。


今年の夏休み、どうしようかな……


毎年、友達と遊んでたけど今年は……



藤野君と遊んでみようかな。



明日、誘ってみよう……






朝、早めに家を出た。藤野君と話すために……。隣の家だけど。


私のクラス、1年A組に入ると藤野君がいた。やっぱり。


私は藤野君に挨拶した。


「おはよう!」


「よ」


1分間、沈黙が続いた。


すると、藤野くんが祭りの広告を見せて


「あ、あのさ、8月5日にある夏祭り俺と行かない?」