学校に着いたら舞と滝川がいた。っていうか、私達を待ってるように見えた。
「舞と滝川おはよう! ……2人ともどうしたの??」
「うふふ、実は私達付き合うことになったんだ☆」
「え……?」
えええええええ!?
「いつから!? てゆか、どっちが告白したの!?」
私は舞に質問攻めしまくった。
「実は〜……」
舞は滝川に助けてもらったらしい。
〜舞side〜
あたしはいつも学校帰りに屋上でゲームをしたり携帯をいじっている。
私の通ってる兎乃中学校は携帯持ち込み不可、もちろんゲームもだめ。(不良と思われるけど成績は良い)
ある日いつものように屋上でゲームや携帯をしようと屋上にいったら、そこにはこの前転校してきた滝川君がいた。
……っていうか、滝川君も携帯持ってきてる……!?
「お、雪野? どうした?」
「た、滝川君、なんで携帯を……」
「は? お前だって人のこと言えないんじゃないの? っていうか、なんで――」
2人で話してると誰かがドアから入ってきた。
「やばい、誰かきた! 雪野、隠れるぞ! あそこの大きい段ボールに!」
私達は段ボールの中に入った。
狭い……っていうか、顔近いんだけど!
入ってきたのは生活指導の若田先生だった。夕方の見回りにきたらしい。
私は滝川の方を向いた。その時滝川もこっちを向いた。
その瞬間、時が止まったかと思った。
滝川とキスをしてしまった。
そして、若田先生は何分かして出ていった。
段ボールから私と滝川は出た。滝川君の方を少し見ると、顔がとても真っ赤になっていた。
滝川は少し私を見ながら
「なあ……俺と付き合わない?」
「……は? いまなんて……」
「だから……俺と付き合わない?」
ちょっと待って、頭の中が混乱……
滝川君は立夏の事が好きだったけど失恋したはず……
でも今はあたしの事が好き……?
とにかく、よく意味わからないけどOK出しとこう……
「うん。あたしも好き……」
「……ってことだよ♪」
「…ってことだよって……滝川のことすきでも何でもないのにいいっていったの!?」
「だって失恋したばっかりなのにまた失恋って……可哀想じゃん?」
良いのか悪いのか……わからない……
「ま、イジワル男子とイジワル女子にはお互いに気を付けようね!」
そういって、舞は1Aの教室に戻っていった。
私と悠太で仲良くしてたらクラス一番……いや、学年一番の不良でイジワル男子の朝田 遼斗(あさだ りょうと)が近づいてきた。
「お前ら仲いいな〜! もしかして付き合っちゃってる感じ〜?」
周りの女子からは、『私達の藤野君が〜!』や『尾崎さんずるーい!』という声、男子からは、『藤野いつのまに仲良くなったんだよぉ〜♪』と声が飛んでいる。
ど、どうすれば……!?
すると、私の前に悠太が立った。
「朝田。お前には関係ないだろ、立夏も困ってるからやめてくれない?」
「……はぁ? 少しからかっただけなのになぁ〜?」
そういって朝田は教室のドアを壊れそうな勢いで蹴って、教室を出ていった。
「……こっ、怖かった〜……っ!」
私は机に突っ伏しっていた。
「大丈夫、俺が守ってやるから。安心して」
「うん……!」
悠太と帰ろうとしたら、前から福井 瑞奈(ふくい みずな)、本田 一穂(ほんだ かずほ)、斎条 有理(さいじょう ゆうり)さんがきた。
「尾崎さん、ちょっといい?」
「あ、うん……悠太、ちょっといってくるね」
私は体育館の裏にある体育倉庫に連れていかれた。
嫌な予感しかしないんだけど……
「尾崎さん、藤野君と付き合ってるって本当?」
斎条さんはするどい目で私を睨んできた。
もともと怖いんだけど……
「え、うん……。そうだよ?」
「へえー……。じゃあなんで私達に彼氏できたこと話さなかったの?」
「瑞奈の恋、邪魔しないでくれる? あなたと藤野君、全然カレカノっぽくないし。瑞奈との方が藤野君にぴったりだし」
本田さんは私を追い込むようにいってくる。
「そういうことだから、これからはあまり藤野君と話さないでよね!」
最後に福井さんからとどめの一言を言われた。
夕陽の光が射し込む第二美術室に入って、窓から校庭で部活をしているテニス部を眺めながら呟いた。
「話すなって言われたって……」
呟いていると、部室のドアが開く音が聞こえた。
「あれ、立夏ちゃん? どうしたの??」
そこには、同じ美術部の同級生の綾瀬 遥(あやせ はるか)がいた。
「遥ちゃん……」
「うん、どうしたの?」
……いや、待てよ。以前この子に秘密を打ち明けたとき、みんなに広めたよね……
言わない方がいい。
「ううん、なんでもない、ちょっと頭いたいから部活休むね!」
そういって私は鞄を持って家に帰った。