【完】私の彼氏は転校生。


翌日。


回復した私は制服に着替え、学校に行き、集配係でプリントやワークを教室に運んでいた。


欠伸をして振り返って歩こうとした時、男子生徒とぶつかり、配布物が私の周りに散らばった。


「うわぁっ! ごめんなさい! ……って、あれ? 滝川!? な、何で……」


滝川 健吾(たきがわ けんご)。幼稚園時代からの仲で幼友達。小学3年のときに転校したんだっけ……。






「……で? なんで滝川がうちの学校にいるの?」


「その事なんだけど、この学校に通うことになったんだ。ちなみにA組にはいるつもり」


A組って……私のクラスじゃん!


「……立夏…大人っぽくなったね……。胸も、顔も」


!?!?!?


滝川は私の胸に手を伸ばしてきた。


「……だっ……ダメ……っ!!」


すると、A組担任の福岡先生がきた。


「やっと見つけたぞ、滝川君! ……ん? 尾崎? 知り合いか? ……まあいいや。さ、手続きの続きをしに行こう」


そういわれ滝川は先生と一緒に職員室に入っていった。






そして、朝学活が始まった。


「はい、席ついてー。今日は転校生を紹介する」


「滝川 健吾です。赤田中学校から来ました。よろしく」


「滝川の席は……雪野の隣」


「よろしくね、滝川君!」


「ん」


舞が隣か〜……仲良くするといいけど……。






「立夏ー! 美術室一緒に行こう!」


話しかけてきたのは悠太じゃなく滝川だった。


「えっ……でも私……藤野君と――」


「藤野? 誰それ? まあいいや、早く行こー!」


私は滝川に腕をつかまれ、美術室に向かった。……悠太ごめんね……






「立夏ー! 一緒に帰ろっ!」


掃除のあと、滝川が話しかけてきた。


「え、うん……」


滝川と教室を出ようとした時、後ろから腕をつかまれた。


「俺、この子と一緒に帰る約束してたから」

振り返ると、悠太がいた。


「えっ、ちょ、悠太!?」


悠太は私の腕をつかんだまま、私を1年A組の隣の多目的室に連れていった。






「……あいつだれ?」


「あいつって……滝川のこと?」


「滝川……? だれ?」


あ。そうだ、あの時悠太は休んでたんだっけ……


「転校生だよ! 私の幼馴染み。赤田中学校から来たんだよ」


「……へぇー……」


悠太は不機嫌そうな顔で言った。


「……?」






家にかえって、舞に電話をした。


「……もしもし?」


かけてから10秒後に舞がでた。


「あ、尾崎です!」


「立夏? どうしたの??」


「ちょっと気になることがあるんだけど……」


「藤野君とのことでしょ?」


さすが私の親友、私の悩みはお見通しらしい……


「うん、なんか悠太と滝川が仲悪いんだよね……何でだろう……」


「……焼きもちじゃない?」







……『焼きもち』か……


あの悠太が……私に……


そう思うと、なぜか少し嬉しく感じた。


朝、いつも通り学校で本を読んでいると、登校してきた舞がきた。


「みんな! たっ、大変! 藤野君と滝川君が……っ!!!」


え……!?






東校舎の廊下には、30人ぐらいの人だかりができていた。


その人だかりの先には悠太と滝川が殴り合いをしていた。


「悠太と滝川!? なんで……」


――焼きもち……


「――! なにやってるんだ! やめなさい!」


遠くから担任の福岡先生が走ってきた。



先生はなんとか殴り合いをとめて、悠太と滝川は生徒指導室に連れていかれ、話をしている。