「悠太、今何時……?」
欠伸(あくび)をして、目を擦りながら悠太に聞いた。
「10時35分だよ」
え!?もう2時間目終わったの!?私、2時間も寝てたの!?
「あと、つぎは移動教室で美術だよ、あと1分」
「えっ! もっと早く起こしてよ〜!」
寝てた私がいけないんだけどね。
無事に授業が終わり、私と悠太で帰った。
そのあと私は制服を着たまま寝てしまった。
――朝。
起きた瞬間に寒気を感じた。
「へっくし! ……さ、寒……」
ん……?なんか頭がもうろうとする。っていうか頭が痛い。
制服のままで寝たからかな……それに、夜冷え込むって天気予報士がいってたし……
体温計で体温をはかってみたら38.0℃だった。
こ、これは……学校欠席決定……
はぁ〜……悠太に会えないなんて……早くなおらないかな……
悠太は何してるかな……
〜悠太side〜
「やば、遅刻ギリギリ……」
朝学活の始まるチャイムがなる直前に席についた。
「立夏おはよ〜! ……あれ?? り、立夏?」
隣を見たら立夏がいなかった。
担任の福岡先生に聞いてみると、38.0℃の熱を出してしまったらしい。
立夏と会えないなんて……早く熱、なおらないかな……
〜立夏side〜
はぁ……なんとか36.5℃まで下がった……
明日は学校行かなきゃ。そう思っていると、私の家のインターホンが鳴った。
お母さんが下から呼んでいる。
「立夏ー! お客さんよ! 同じクラスの人!」
……お客さん?羽織ものをきて玄関に向かう。
「立夏、熱大丈夫?」
そこには、部活帰りの悠太がいた。
「よかったら上がってく? 立夏、熱大丈夫そうだし」
えっ、お母さん!?
絶対感づいてる……
私は悠太を私の部屋に案内し、ドアを閉めた。
「そうそう、宿題! 明後日までのが理科1で出たんだよ。ワークの51ページから75ページだって」
「えっ、どこどこ?」
私が悠太のほうに近づいた瞬間、急に力が抜け、悠太のほうに倒れてしまった。
その時、唇に軟らかく暖かな感触を感じた。
もしかして……キス……!?
その時悠太が私の背中に手を回してきた。
悠太の心臓の音が、微かにきこえる。
『トクン……トクン……』と。
「悠太、熱うつっちゃうよ……?」
「大丈夫、ばかは風邪ひかないし」
そのあと、2人は見つめあってクスクスと笑った。
翌日。
回復した私は制服に着替え、学校に行き、集配係でプリントやワークを教室に運んでいた。
欠伸をして振り返って歩こうとした時、男子生徒とぶつかり、配布物が私の周りに散らばった。
「うわぁっ! ごめんなさい! ……って、あれ? 滝川!? な、何で……」
滝川 健吾(たきがわ けんご)。幼稚園時代からの仲で幼友達。小学3年のときに転校したんだっけ……。
「……で? なんで滝川がうちの学校にいるの?」
「その事なんだけど、この学校に通うことになったんだ。ちなみにA組にはいるつもり」
A組って……私のクラスじゃん!
「……立夏…大人っぽくなったね……。胸も、顔も」
!?!?!?
滝川は私の胸に手を伸ばしてきた。
「……だっ……ダメ……っ!!」
すると、A組担任の福岡先生がきた。
「やっと見つけたぞ、滝川君! ……ん? 尾崎? 知り合いか? ……まあいいや。さ、手続きの続きをしに行こう」
そういわれ滝川は先生と一緒に職員室に入っていった。