【完】私の彼氏は転校生。



帰りは家まで車で大河くんが送ってくれた。


「……今度は……さ、尾崎さんの家にいってもいい?」


「……うん、いいよ!」


「サンキュ!」


夜の街灯が大河くんの顔を照らし、いっそう笑顔がかっこよく見えた。


「……じゃあまた明日――」


大河くんは途中で喋るのを止めた。


「……? 大河くん? どうしたの?」


私は大河くんの見ている方をむいた。そこには――……





「……立夏? なんで……神城と……」


そこには買い物袋を片手に持った健吾がいた。


「……あ……健吾、違うの、これは……」


「何が違うの? ……まさか俺とのデートを断って神城と遊んでたの?」


「っ……」


私は言い返せなかった。


本当のことだから……。


「……滝川、お前本当に彼氏なの? なんで尾崎さんがいじめられてるのに助けてあげなかったんだよ。なんで彼氏なのに助けられないんだよ」


「……それは」


「もういい。お前は彼氏失格だ。彼女を守ることができない彼氏なんて、必要がない」


私は2人の会話を聞いているだけで、喋れなかった。


「……わかった。……立夏、別れよう」


「――!! 待って、……健吾!!」


健吾は走って帰ってしまった。


どうしよう……健吾が誤解しちゃった……!!


私は先に約束していた方を選んだだけなのに……


私は目頭が熱くなり、涙が私の頬を伝った。


「……尾崎さん。俺なら君を絶対守れる。……だから……俺と付き合わない?」


「……えっ、でも気になる人いるんじゃ……」


「それ、尾崎さんだから」


大河くんの顔はよく見ると赤かった。


「……うん……私……付き合う……」


「ありがと……じゃあまたな、おやすみ」


「うん、おやすみ」


私は大河くんを見送り、家に入った。



……これで……よかったのかな……







〜健吾side〜


俺は親父に買い物を頼まれ、コンビニへいった。帰りに立夏の家がある道を通った。すると、立夏が家の前で誰かと話していた。よく見てみると相手は神城大河だった。神城は俺がいることに気づき、冷たい視線で見てきた。そのあと、立夏もこっちをむいた。


「……立夏? ……なんで……神城と……」


「……あ……健吾、違うの、これは……」


「何が違うの? ……まさか俺とのデートを断って神城と遊んでたの?」


俺は立夏が神城といたことにイラッときて、こういってしまった。立夏は返事をしなかった。すると、立夏の隣にいた神城が口を開いた。


「……滝川、お前本当に彼氏なの? なんで尾崎さんがいじめられてるのに助けてあげなかったんだよ。なんで彼氏なのに助けられないんだよ」


それはクラスの女子からの威圧が強すぎて敵わなかったから。と言おうとしたが止められた。


「もういい。お前は彼氏失格だ。彼女を守ることができない彼氏なんて必要がない」


……!確かに俺は……立夏を助けられなかった。……守れなかった……。


「……わかった。……立夏、別れよう」


俺は立夏の顔を見なかった。立夏が泣いてると思ったから。


……泣いてる立夏を見たくなかったから……


「――!! 待って、……健吾!!」


後ろから立夏が呼んでる。だけど俺はそれを無視して走り続けた。曲がり角を曲がったあと、涙が出てきた。


俺はいつも立夏を信じていた。でも今回は信じてあげられないかもしれない。立夏は今まで、一度も嘘や隠し事はしなかったから、とてもショックを受けた。


「なんで……あんなこといっちゃったんだろ、俺……」


俺は家の近くにある小さな公園のブランコに座って呟いた。


「――滝川何してるの? こんなところで」







振り返ると、そこには俺にとって永遠のライバル、藤野と元カノの舞が腕を組んで俺を見ていた。


「……うぅっ……藤……野っ、……舞……! ……ふぇ〜〜ん!!」


俺は藤野に抱きついた。


「おっ、おい! なんだよいきなり!! てか、なんで泣いてんの!? おい、男だろ!? そんなに泣くなよ、服がビショビショになるだろ!!」


藤野はそういっているけど、俺の頭を撫でて、背中をさすってくれた。……こいつ、意外と……優しいんだな……。


俺は2人にさっきあったことを話した。


「へぇ〜、そんなことがあったの……普通、彼氏の方を優先させるよね?」


「あぁ。でも立夏は先に約束していたから神城と遊んだのかもな」


「……だとしたら、俺……誤解してた?」


「「そうだね」」


「どうしよう……立夏、怒ってるかな……?」


「大丈夫だよ! 立夏はそんな理由もなく怒らないよ! 明日3人で立夏を説得しようよ!」


「……あっ……ありがと……」


「あっ、もうこんな時間!! 健吾も早く家に帰りなよ?」


藤野と舞はそういって帰っていった。







〜立夏side〜


翌日、メールで舞に『話があるから兎乃公園にきて!!』といわれ、兎乃公園にむかった。公園にいくと、舞、悠太、健吾がいた。


「健吾……? どうしてここに……?」


「健吾から聞いたよ、別れたって。あのね、その事なんだけど仲直りしたいって、ヨリ戻したいっていってるの」


「……立夏、昨日はごめん。神城と立夏が2人きりになって俺とのデートを断って神城と遊んでいたことについイラッときて……それで……別れようって……いっちゃっ……」


「えっ、ちょ……泣かないでよ健吾……!!」


「立夏ぁっ……もう一度……チャンスをくれない……?」


「……うん、わかった……でも……大河くんに告白されて『うん』付き合うっていっちゃったし……どうしよう……」


「そのことなら、あたし達に任せてっ!! 神城くんと同じクラスだし! あとで呼び出していっておくから!」


「ありがとう……!」


「……ていうかさ、結婚するの予約したんだから別れるとか問題外じゃね?」


「「あ、確かに……」」


「ほら、早くしないと遅刻しちゃうよ! 早く早くっ!!」


私達は無事仲直りをして学校にいった。






こんにちは、雨ノ宮心音です!


書き始めてから約3ヶ月で完結!半年くらいで完結すると思っていたので少しビックリしました……。しかも番外編と併合させるのに2ヶ月くらいもかかり、諦めようと思った時もありました。


『私の彼氏は転校生。』を読んでくれた読者さんやファンの方、本当にありがとうございます!


私のいじめと友情物語
好き すき スキ。
twins cherry
叶わない恋〜14歳の赤ずきんとオオカミ〜

も書いてます♪

では(^^)/~~~





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