私は藤野君の顔をハンカチで拭きながら聞いた。
「藤野君……! 凄いケガ……大丈夫!?」
藤野君の顔の左頬と額から血が出ていた。
「うん、大丈夫……。それより早く学校にいかないと……」
私の薄ピンク色の腕時計を見てみると、さっきまで7時45分だったはずなのに、もう8時15分になっていた。
「やばい! 遅刻しちゃう! 藤野君、走れる?!」
私は学校にむかって走りながら藤野君に聞いた。
「ねぇ、なんでさっき藤野君があそこにいたの?」
「……だって俺の家、尾崎さんの家の隣だし」
「えっ……!? そうなの!? 気付かなかった……!」
そう話をしてる間に、もう学校に着いた。
「みっ……みんなおはようっ……!」
私達はチャイムがなる5分前に着いた。危なかった……!
はぁ……あと3日で夏休みだ。
私はお風呂に入りながら考えている。
今年の夏休み、どうしようかな……
毎年、友達と遊んでたけど今年は……
藤野君と遊んでみようかな。
明日、誘ってみよう……
朝、早めに家を出た。藤野君と話すために……。隣の家だけど。
私のクラス、1年A組に入ると藤野君がいた。やっぱり。
私は藤野君に挨拶した。
「おはよう!」
「よ」
1分間、沈黙が続いた。
すると、藤野くんが祭りの広告を見せて
「あ、あのさ、8月5日にある夏祭り俺と行かない?」
私が?藤野君と?
「……うん、行く!」
藤野君が待ち合わせ場所と時間を書いた紙と、電話番号を書いた紙を私に渡した。
「じゃ、うさぎ公園の入口で4時に待ち合わせ、あと、俺の家の電話番号。なにかあったら電話して。家に来てもいいけど」
そういって藤野君は教室から出ていった。
あ〜〜……っ!!!!!!!
着ていく服どうしよう!
ほぼ全部お母さんのおさがりだからダサいよ……
しょうがない、貯金してた10000円で服屋に行こう。できれば浴衣にしたいけど。
うさぎ商店街の服屋『ラビット』に着いた。
「いらっしゃいませ〜♪」
店に入ると、待っていたかのように店員がいた。私は女性店員に訪ねた。
「あの……彼とのデートに着ていく服を探してるんですけど、オススメとかありますか?」
「それなら、このトップスとこのボトムスを……で……」
店員が作ってくれたコーデを試着室で着てみた。
「わぁ〜……かわいい……」
薄いピンクの花柄カーディガンに桃色のスカート……
「お客様、どうですか〜?」
「あっ、はい! このコーデ買います!」
……予算ギリギリ……。
でも、かわいい服買えたからいっか……♪
デート1日前の夜、携帯に電話がかかってきた。相手は私の親友の雪野 舞(ゆきの まい)だった。
「もしもし立夏〜? 明日、藤野君とデートなんでしょ?」
「うん、そうだよ!」
「そうなんだ♪ 頑張ってね〜♪」
「え? それだけ?」
「そうだよ。じゃあね!」
「うん! またね〜!」