「蒼っ!」
「翠鈴!おはよう!」
私が呼べば蒼は振り返る。
何気ないことだけど本当はすごいことなんだよ。
その人に名前がある。
当たり前のことでも呼び合えるって素敵なことなんだよ。
今日も蒼と一緒に秘密基地で遊ぶ約束をしていた。
いつも私よりも早く家の前で待っててくれて、一度だって私を待たせたことなんかなかった。
私はそんな蒼と幼馴染みじゃなければよかったなんて思ったこともなかったし、蒼もそんなことないと思う。思いたい。
「翠鈴?どうしたの?悲しそうな顔して」
「あー、なんでもないよっ」
蒼の突然の問いかけには、苦笑いで応えることしかできなかった。
幼い私にはまだ「れんあいかんじょう」なんてわからなくて、親戚とか友達みたいな意味で『大好き』だった。
でもやっぱり小さい女の子の通る道は通っていて、「大人になったら蒼のお嫁さんになる!」は、一時期住宅街の中で広まった。
毎日一緒だった私達は物心ついた頃から記憶も一緒だった。
からかわれた記憶も、笑われた記憶も、一緒に笑った記憶も。
だからこれから苦しくなる。
私の知らない蒼の記憶もあるってことに気付くのもそう遠くない。
「翠鈴!おはよう!」
私が呼べば蒼は振り返る。
何気ないことだけど本当はすごいことなんだよ。
その人に名前がある。
当たり前のことでも呼び合えるって素敵なことなんだよ。
今日も蒼と一緒に秘密基地で遊ぶ約束をしていた。
いつも私よりも早く家の前で待っててくれて、一度だって私を待たせたことなんかなかった。
私はそんな蒼と幼馴染みじゃなければよかったなんて思ったこともなかったし、蒼もそんなことないと思う。思いたい。
「翠鈴?どうしたの?悲しそうな顔して」
「あー、なんでもないよっ」
蒼の突然の問いかけには、苦笑いで応えることしかできなかった。
幼い私にはまだ「れんあいかんじょう」なんてわからなくて、親戚とか友達みたいな意味で『大好き』だった。
でもやっぱり小さい女の子の通る道は通っていて、「大人になったら蒼のお嫁さんになる!」は、一時期住宅街の中で広まった。
毎日一緒だった私達は物心ついた頃から記憶も一緒だった。
からかわれた記憶も、笑われた記憶も、一緒に笑った記憶も。
だからこれから苦しくなる。
私の知らない蒼の記憶もあるってことに気付くのもそう遠くない。