ご飯を食べ、スーツを着て仕事へ行く準備を終わらせる。

「あ、やばっ!もう出る!」


「忘れ物ない?大丈夫?」

辺りをキョロキョロしながらいうにぃ。

あー、可愛い。

「ぱぁぱ!」

「んー?」

膝を曲げ、目線を合わせてニコニコする。

「はやくかえってきてねっ!いったーしゃい!」

ぎゅっと抱きついてきていう。

叫びたいのを抑え、きつく抱き締める。

「早く帰ってくる!!絶対!!」

「カナちゃん、早くしなきゃ遅れるってば」

「あ、そうだった。じゃあ、行ってくるよにぃ、虹那!」

「「頑張ってね!」」

出ようとドアノブに手をかけ、振り返る。

「あ、忘れ物」

「え、なに忘れた!?」

にぃを引き寄せて、優しいキスを落とす。

「なっっっ……!?」

真っ赤になったにぃに微笑みかけて、家を出る。

これで今日も頑張れるな♪

ほんとに夢のようだ。

あんなに恋焦がれた人と、また同じ道を歩める。

そして、娘もできた。

「こんなに幸せでいいのかねぇっ♪」

あー、ニヤける。

見違えるように変わった俺の人生。

にぃに出会ってなかったら、今頃どうなってた?

予想もできないけど、これだけはいえる。



『出会ってくれてありがとう』







fin.