「くそっ……!!」
俺はにぃの温もりを埋めるために
適当に女に電話した。
《もしもーしっ!》
にぃとは違う、耳に障る声。
「チカちゃん?この前ピアス忘れたでしょ?取りにおいでよ。今なら時間も空いてるし」
《え、いいの!?わーいっ!初めての狩那緋のお家!すぐ行くわね!》
そういって電話を切った。
それから数十分後にチカちゃんが来た。
「狩那緋ー!」
「あ、はーい!どーぞ、あがって?」
「うわー、意外と綺麗なのねー!」
家に入り、あたりを見回すチカちゃん。
「あら、このカレンダー、何か書かれてるわよ?」
「え?」
見てみると、にぃの字で今日の日付の欄にこう書かれていた。
《私の誕生日&1年記念》
「私、って……誰?」
「…………」
「ねぇ狩那緋っ!!もしかして……貴方には彼女が……?」
それを聞かれて、目を逸らすしかない俺。
「嘘でしょ……?アンタ浮気してたの!?その子以外の子と!?」
「………してる」
「アンタ……最低っ!!わかってる!?女の子はね、浮気ほど辛いものはないのよ!?」
わかってる。わかってるよ。
「しかも誕生日もわからなかったの!?アンタ、それでも彼氏!?」
「ちがう。さっきフラれた」
「はっ、当たり前よ!逆に今まで別れなかった彼女を褒めたいわ!」
「…………」
「で?何歳なのよ、その子」
「………2つ下」
「18!?アンタ…その頃の女の子はデリケートなのよ!?何で大切にしてあげなかったのよ!?」
「大切だよ!!大切すぎて……」
「そんなの言い訳よ!ねぇ狩那緋?失ったものはね、時に帰ってこないこともあるのよ………」
「チカちゃん……?」
「気づいた時には…手遅れだったりするのよ?」
悲しそうな顔でそういうチカちゃん。